結果に対し、真剣に向き合います
一夜にして問題が解決するような魔法のような治療はない。
そして、発達障害は薬で治るものではない。
それでも、子どもへの日々の接し方で、将来的に、子どもの人生、そして、お母さんやお父さんの人生にも、とても大きな違いが生じる。
かんしゃく、こだわりなどの困った行動が減ると日々の生活がかなり楽になる。
また、子どものできることが増えてゆくことで、お母さんやお父さんの気持ちも前向きとなる。
子どもには自信がつく。
結果に対して、真剣に向き合っていきたい。
クリニックの受診される方は、日々の生活で困りごとがあったり、心配や不安を抱えたりしている。
診察料は、困りごとが減り、お子さんとお母さん、お父さんの笑顔が増えることの対価と考えている。
うちのクリニックは、薬を出して終わりといった診療はしない。
確かに、注意欠如多動症(ADHD)に対しては薬で症状が改善する。
しかしながら、ガイドラインには下記の内容が繰り返し記載されている。
「症状を表面的になぞった安易な診断とそこから直ちにADHD治療薬による薬物療法に結びつくという短絡的診療を厳に戒めなければならない」とし、
検査や評価尺度は診断の補助ツールに過ぎず、
「これらの数値を疾患の診断根拠として直ちに診断に結びつけるような誤った利用法に陥らないように」
と注意喚起し、
知能検査WISCにおいても「ADHDに特異的なプロフィールは認められない」としている。
また、治療・支援に関しては、心理社会的治療の重要性が初版以来一貫して強調されており、
「あくまで薬物療法は心理的社会的治療の効果不十分であることを確認したうえで、併せて実施すべき選択肢である」としている。
受診された際、応用行動分析(Applied Behavior Analysis)の考え方に基づき、いわゆる問題行動への対応方法を、具体例を交えて説明させていただいている。
高い科学的根拠があり、結果が出る確率が高いからだ。
自分が発達障害のある子どもの親であれば、結果が出る可能性の高い方法から試す。
結果が出れば何をしても良いとは考えないが、結果の出ないやり方を続けることは時間の無駄であり、いわゆる問題行動は悪化の一途をたどる。
時間が経過し、年齢が上がるほど、子どもも、親も、生活することすら大変になっていく。
発達障害に関しては、いろいろなひとが思い思いに話す。
いわゆる専門家とされる人たちについても、話す内容が様々で、相容れないことがある。
個人的な思い、勘や経験は、科学的根拠の信頼性(エビデンスレベル)が最も低い。
結果を支持する質の高い研究はなく、効果の推定値がほとんど確信できない。
私自身、セラピストとして、あらゆる問題行動などに対応してきた。
問題行動は適切に対応すれば、「必ず」改善する。
応用行動分析に基づき、問題行動への対応方法を説明させていただいているが、
「分かる」と「できる」は全くの別ものだ。
どんなことも、実際にやってみると思うようにはできない。
水泳やダンスなどの教本を読んだり、動画を見たりしたことがあるかもしれない。
読んだり、見たりすると簡単にできるような気がする。
また、プロ野球中継を見ながら「今くらいの球なら自分でも取れる」などと言うひとを見たことはないだろうか。
残念ながら、私自身が子どもに付きっきりで、指導することはできない。
日本においては、具体的なアドバイスや提案を受けながら、お母さん、お父さんや先生が実践するほかない。
大変な日々ではあるが、ともかく、無理のない範囲で、頑張って実践してもらいたい。
結局は急がば回れだ。
安直で、その場しのぎの対応や、様子を見ていて、子どもの問題が解決したというケースは知らない。
そうした期間の「利息」が付き、深刻化することがほとんどだ。
日々、適切に子どもと接していくことにより、将来的に、子どもの人生、そして、お母さんやお父さんの人生にも、とても大きな違いが生じる。
高いレベルの科学的根拠がある。
うまくいかなければ、いつでも、何度でも、相談に来てもらいたい。
具体的にやり方などを、一緒に考え、提案します。
一緒に、頑張りましょう。