子どもへの対応に際して考えて欲しいこと
先日、診察の際に、あるお母さんから、
「『どのように接すれば良いのか、注意事項などあるか、アドバイスなどを紙で欲しい』と学校の先生から言われました」
との話があった。
「学校の先生は、画家に『無料で似顔絵を描いて欲しい』というくらいのことなのに、簡単にお願いするものだ」と思いつつも、子どもが学校で過ごす時間は長いので、「その子のためになれば」と考え、その場で作成してお渡しした。
同じようなことを言われているお母さんは多いのかもしれない。
「応用行動分析」を知らないひとに、どのような内容を、どのようにお願いすれば良いか考えた。
学校だけではなく、おうちでの接し方でも、同じように考えて欲しいことなので、加筆して作成した。
参考になるのであれば、うれしい。
【子どもへの対応に際して考えて欲しいこと】
- 「できる」か「できない」の2つに分類するのではなく、
全部はできないとしても、
「どこまでできるか(適切な課題の設定)」
「どうすればやれるか(動機づけとサポート)」
を考えて接して欲しい。
- 問題となる行動が起きてからではなく、
望ましい状態やうまくできている状態の時、もしくは、起きそうな状況下で未然に行動を防いで(一種のサポート)、
声掛けをしたり、ご褒美を与えたりして、
望ましい行動が増えるような対応をして欲しい。
- 困った行動に対しては、まず、その行動の持つ意味(機能)を考えて欲しい。
その上で、そうした行動をしても、何もメリットは得られないことを明確に示して欲しい。
本人にとってメリットのある(望む結果が得られる)行動は続き、増える。
メリットのない(望む結果が得られない)行動はやらなくなる。
行動の機能は、「行動の起きる前の状況」と「行動の結果」という前後から考える。(ABC分析)
行動の機能は、
① 欲求を叶えたい
② 嫌なことから逃げたい
③ 構ってほしい、注目してほしい
④ 感覚刺激
の4つのいずれかである。
重複していることはある。時間の経過とともに変化することもある。
- その場しのぎの安易な対応は、困った行動を助長する(増悪する)ことになると認識して欲しい。
「欲求を叶えたい」(やりたいや欲しい)目的で騒いだり暴れたりしている時に、
妥協して、「今回だけ」や「特別に」と認めたり許したりすると、
自分の欲求を叶えたいことがある度に、騒いだり暴れたりするようになる。
「嫌なことから逃げたい」目的で騒いだり暴れたりしている時に、
「クールダウン」と言ってやらせなければ、
嫌なことややりたくないことがあれば騒いだり暴れたりすることになる。
注意や関心を逸らすことは、
当初に望んだ結果が得られないとしても、
本人にとって望ましい結果が得られることが多いため、
困った行動を助長することとなる。
5. 必ず、「できた!」や「やってよかった!」という形で、終わらせて欲しい。