スペクトラム症とは
「スペクトラム」とは「連続体」と訳されることが多いです。
虹の7色が次第に少しずつ変化していく様子を「スペクトラム」と言ったりします。
自閉スペクトラム症の特性は、「ない」と「強い」を両端として連続する一つの線があり、その線上のどこかに、そのひとの特性は位置します。
ちなみに、特性が全くないひとは存在しません。
程度や頻度が著しい場合に、「特性が強い」という判断になります。
例えば、男の子であれば、ミニカーや電車のおもちゃを並べることがあります。
どの子どももすることですが、並べる順番に強いこだわりがあり、他のひとが並びを変えるとすぐに自分の並べ方に戻す、もしくは、そればかりやっているとなれば、特性が強いと考えます。
また、スーパーでお菓子やおもちゃを買って欲しくて、子どもが泣くことはありますが、自分の思い通りにしたくて、1日何回も、長時間泣き叫ぶような場合、「かんしゃく」と言います。
この場合、一種のこだわりであり、特性が強いと考えます。
自閉スペクトラム症は、症状の現われ方が様々です。
環境、要求される水準や知能レベルなどによっても現れ方が異なってきます。。
また、どのような特性が強いかも、子どもにより違います。
インターネットで調べて、自閉スペクトラム症の診断に当てはまるかの判断に迷われる大きな理由は、「スペクトラム」障害であるためかもしれません。
(参考)
DSM-Ⅴ-TR(日本語版)では下記の通り記載されています。
「主要な診断的特徴は発達期の間に明らかとなるが、治療的介入、代償、および現在受けている支援によって、少なくともいくつかの状況ではその困難が隠されているかもしれない。障害の徴候もまた、自閉症状の重症度、発達段階、暦年齢、そしておそらく性別によって大きく変化するので、それゆえに、スペクトラムという単語で表現される。」
また、「認知機能の障害や言語の障害を伴わない人は、知能の障害や言語の障害を伴う人よりも、より微細な欠陥の表出であり、これらの欠陥を隠すために多大な努力をしている可能性がある」
とも記載されています。
「多大な努力」の継続により、子どもが力の尽きた状態となり、心身のSOSとして、いわゆる二次障害として発症することのないように、できるだけ早く、関わる大人が本人の特性を理解し、適切な配慮と支援を行うことが重要です。