自閉スペクトラム症
言葉の遅れがある、マイペースで関心の偏りがある、自分のやり方や考えにこだわる、友だちとのトラブルが多い、うまく遊べない、こうした場合、自閉スペクトラム症の特性が強い可能性があります。
アメリカでは、子どもの2%程度が該当するとされており、日本でも同様と考えられます。
自閉スペクトラム症とADHDの特性を併せもつ子どもが多いです。
自閉スペクトラム症の診断基準を簡単に示すと次の3つです。
- 社会的コミュニケーションと対人的相互反応(対人関係)に困難さがある
- 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式(こだわり)がある
- 上記により、おうち、園や学校での生活において困難(不適応)が生じている状態にある
1) については
- 視線が合いにくい
- 言葉の遅れ(理解、表出)
- 一方的に話したいことを話す
- 例え話や冗談であって理解できず、文字通りに受け取る
- 「きちんと」や「ていねいに」などの抽象的な指示が理解しにくい
- 自分の気持ちなどを言葉で説明することが難しい
- その場の空気を読めない
- ひとの気持ちを理解することが難しい
- 知らないひとにでも話しかける
- お友だちとトラブルが多い
- ひとり遊びが多く、お友だちとうまく遊べない
などがあります。
2) については
- 好きなものとそれ以外とで興味や関心に大きな偏りがある
- 自分のやり方、考え、順番やペースにこだわる
- 決まった服や食べ物以外は嫌がる、もしくはそれらにブームがある
- 勝つことや一番であることに固執する
- 頑固で融通が利かない
- 決められたルールは頑なに守る、ルールを破るひとが許せない
- 新しい場所やひとに慣れるまでに時間がかかる
- 予定の変更への対応が苦手
などがあります。
1)、2)に示すような自閉スペクトラム症の特性の強く、3)の日常生活に困難が生じている場合に、自閉スペクトラム症と診断します。
また、自閉スペクトラム症のひとには、感覚的な敏感さや鈍感さがみられることもあります。
自閉スペクトラム症は、持って生まれた脳のはたらき方によるもので、育て方の問題ではありません。
また、自閉症スペクトラムの特性は成長とともに現れ方が変わりますが、完全になくなるわけではありません。