話が通じない!! (「中枢性統合能力」の話)
「話が通じない」や「話が噛み合わない」と感じることがあると思います。
その理由はいろいろあります。
「考え方ややり方の違い」、「価値観の違い」、「ある事柄に対する認識の違い」、また「わかってはいるものの認めたくない」といった背景があることもあります。
それ以外にも理由があります。
話している時、こちらの意図が通じず、「そういうことを言っているのではない」と感じたりする事はありませんか。
例えば、「嘘つきは泥棒の始まり」と話すと、「嘘はついたが泥棒はしていない」や「鍵がかかっているから泥棒などできない」などと言い返したりすることがあります。
また、「なぜそのように、理解したり解釈したりするのか」と感じたりする事はありませんか。
例えば、お友達とのトラブルにおいて、「『自分は汚い』と言われた」と話しているが、相手の子どもに聞いてみると「給食の前に手を洗わないと汚いよ」と一般的な話をしただけで、全体の文脈とは関係なく、一部の言葉だけを捉え、解釈していたりすることがあります。
こうした背景には、全体の文脈や状況を理解することなく、一部分だけに注目し、そこにこだわってしまったり、一部分を統合してまとまりとして意味を持つ全体として認識する能力が低かったりすることがあります。
こうした能力を「中枢性統合能力」といいます。
自閉スペクトラム症の子どもはこうした能力が低いことがあります。
程度の差もあります。
「空気が読めない」や「相手の気持ちがわかりにくい」も「中枢性統合能力」の低さが一因と考えられます。
「木を見て、森を見ず」ということです。
上記の絵を見て、どのように考えるでしょうか。
多くの方は、「クルマ同士の衝突事故」と考えるでしょう。
自閉スペクトラム症の子どもに、「どんな絵?」と聞くと、
「新幹線が走っている」、「壊れた白いクルマがある」、「二人のひとが話をしている」、「クルマがたくさん並んでいる」、「田んぼがある」、「山がある」などと答えることがあります。
一部分にばかり目が行き、絵全体を俯瞰しないためです。
下記も「中枢性統合能力」の問題です。
伝えたいことを分かりやすくするために、例え話をすることがあります。しかし、その一つ一つに対し、「それは当てはまらない」などといった反応し、例え話の内容にこだわるため、話が進まないばかりではなく、伝えたい内容や状況が全く理解されないことがあります。本人は、「関係のない意味のない話」や「自分に当てはまらない話」というように考えます。
また、文脈を考えることなく、一部の表現や言葉にひっかり、文字通り理解してしまうため、伝えたい内容が理解できず、相手の意図や状況とは関係なく、「こう言われた」と思い込んでしまうこともあります。
こうしたことも、自閉スペクトラム症の特性の一つです。先天的な脳の働き方です。
知的レベルとは直接的な関係はありません。
子どもだけではなく、大人でもしばしば見られます。
イライラするでしょうが、「なぜ分からないの」、「屁理屈ばかり言う」、「そういうことを言っているのではない」などと叱っても意味はありません。
そもそも、ひとは、自分に都合良く解釈したり、聞きたいことしか聞かないものでもあり、なかなか難しいですが、
「抽象的な表現」、「比喩」、「暗黙の了解を前提とした話」や「長い文章」は避け、
「具体的に」「短く」伝えることが大切となります。
