「様子を見ましょう」や「気にしすぎです」で良いのでしょうか
「様子を見ましょう」や「気にしすぎです」、「問題ありません」と医師から診断されてきた子どもたちが、後々、学校で問題行動を繰り返す、不登校になる、何度も手を洗うなどの強迫症状を起こすなど、症状をこじらせて、受診されることが多くあります。
自閉スペクトラム症とADHDを合わせると、人口の10%弱、存在すると言われています。
つまり、電車のロングシートは7人掛けとされており、向かい合う2つのロングシートには、少なくとも1人 (この場合7.1%) は自閉スペクトラム症かADHDの人がいるという計算になります。
多くの方が発達障害でイメージするような、いわゆる「自閉症のカナータイプ」のひとは今も1%程度です。
大人になってから発達障害と診断される人たちの多くは、見た目では全くわかりません。
どこにでもいるような人たちです。
いわゆる一流大学を卒業し、大企業で勤務している人たちもたくさんいます。
本人に何らかの問題があったり、困り事が生じたりしているから、精神科を受診して診断されるのです。
小児科医でも、精神科医でも、発達障害が適切に診られる医師は多くはないようです。
自閉スペクトラム症の子どもはミニカーを逆さに持ち、タイヤをくるくる回しながら横目で見ているといった昔ながらのイメージしか持たれてないように感じる医師もおられます。
発達障害の診断が発達検査(田中ビネーや新版K式)やWISCなどの知能検査で診断できると考えておられる医師もおられます。
自閉スペクトラム症でないのであれば、相手の気持ちや空気を読むことが苦手で、対人トラブルが多い理由は何なのでしょうか。場面や気持ちの切り替えが難しかったり、自分のやり方や考え方に固執して柔軟な対応ができなかったりする理由は何なのでしょうか。
ADHDでないのであれば、じっとしていられない、教室から飛び出す、忘れ物が多い、注意が散りやすい、時間を守れないなどと先生からしばしば注意されたり、叱られたりする理由は何なのでしょうか。
子どもの個性や性格の問題とすることは、やればできるはずなのに、本人の努力ややる気が足りないだけという結論になりがちです。
本当に努力ややる気が足りないだけが理由なのでしょうか。単なるわがままなのでしょうか。
診断は子どもにレッテルを貼るためのものではありません。
自閉スペクトラム症やADHDの診断を過剰につけているとお考えの方がいらっしゃるのであれば、是非、5年後、10年後に答え合わせをしましょう。
診断が誤りであった場合、喜んで、自分の非を認め、謝罪いたします。
本当に喜ばしいことです。
